取材監修/管理栄養士・日本抗加齢医学会認定指導士 篠原絵里佳 先生
今までと同じように食事をとって、からだを動かしているのに、なぜか体重が落ちにくかったり、増えてきたり……。一定の年齢を超えると、これまでと同じ食生活や運動習慣では効果が得られにくくなってきます。どうすれば効果的に引き締まったからだを目指せるのか、管理栄養士で運動にも詳しい篠原絵里佳先生に伺いました。
私たちは食事でからだにエネルギーをとり込み、日ごろの活動や運動などでエネルギーを消費しています。この摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスがとれていれば、基本的に太ることはありませんが、摂取エネルギーが消費エネルギーより多くなると、その分が体脂肪になって蓄えられていきます。
では、食事や運動量が変わらないのに、年齢とともに太りやすくなるのはなぜでしょうか。そのおもな原因は、「基礎代謝」の低下です。基礎代謝とは、安静にしているときも生命活動を維持するために使われるエネルギーのこと。基礎代謝は消費エネルギーのうち約60〜70%を占めているのです。
基礎代謝は、10代後半にピークを迎えます。成人後は年齢とともに低下していき、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ります。そのため、これまでと同じように食べ、からだを動かしていても、やせにくく太りやすくなるのです。
以前の体重に戻したい人や体型をキープしたい人は、「食事」や「運動」などの生活習慣の見直しが必要になります。
ただし、食事制限だけで減量しようとすると、脂肪と同時に筋肉まで落ちてしまいます。筋肉が減ると、基礎代謝も同時に低下し、以前よりもリバウンドしやすいからだになっていきます。そしてリバウンドすると、筋肉ではなく、脂肪が増えるので、より太りやすい悪循環になってしまうこともあります。健康的にやせるための食事と運動のコツを知り、実践することが重要になります。


からだを効率よく引き締めるには、まずは「食事を整えること」が大切です。筋肉をつくるたんぱく質と、エネルギー源となる適量の糖質を補給します。ただし、エネルギーのとりすぎには気をつけましょう。
●筋肉の材料「たんぱく質」を毎食キープ
筋肉は運動で傷つき、修復されることで育ちます。その修復の材料となるのが「たんぱく質」です。魚、肉、卵、大豆製品などを、毎食手のひら1杯分を目安に食べましょう。

●エネルギーになる「適量の糖質」をとろう
ごはんやめん類、パンなどの糖質をとりすぎると、エネルギー過多となるので控えめにしましょう。目安としては、お茶碗に軽く1杯くらいにして、丼ものなど糖質中心のメニューは控えめに。ただし、糖質を完全にカットすることはおすすめしません。糖質が不足すると、エネルギーを補うために筋肉中のたんぱく質が分解されやすくなり、むしろ筋肉量の低下につながるおそれがあります。また、極端な糖質制限は、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、糖質は適量をとりましょう。
ごはんの目安はお茶碗に軽く1杯くらい(右端)
エネルギーを消費し、筋肉を増やすための運動は、ウォーキングなどの有酸素運動と、スクワットなどの筋トレの両方を組み合わせるのが効果的です。
[有酸素運動]
例:ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリング、踏み台昇降など。
おもな効果:ぽっこりお腹の原因となる内臓脂肪を燃焼し、おなか周りがすっきりする。
目安:1回30〜60分を週3〜5回程度。強度は軽く汗をかく程度で、無理にがんばりすぎる必要はありません。
[筋トレ(レジスタンス運動)]
例:スクワット、腹筋運動、腕立て伏せ、ヒップリフト(あお向けで膝を曲げ、お尻を上げる)など。
おもな効果:ヒップアップや姿勢の改善など、メリハリのある美しいからだのラインがつくられる。
目安:1回20〜30分を週2〜3回程度(1〜2日おきに)。

有酸素運動や筋トレするのが大変、時間がとれないという人は、日常生活のなかでからだを動かすようにしましょう。厚生労働省の国民の健康づくりプロジェクト「健康日本21」では、今より毎日「+10分(約1,000歩)」多くからだを動かすことが推奨されています。下記を参考に意識的にからだを動かしましょう。
●まずは「30分に1回」立ち上がる
デスクワークなどで座りっぱなしの時間が多い人は、30分に1回は立ち上がって伸びをする、お茶を取りに行くなど、座りすぎを減らす意識が大切です。
●習慣化の目安は「まず3週間」
人が新しい行動を習慣にするには、約3週間かかるといわれています。最初から「毎日30分走る」といった高い目標を立てると挫折しがちです。「歯みがきしながらスクワットを10回」など、今の生活に無理なく「ちょい足し」できることから始めましょう。

DHAといえば脳や、心臓などの循環器疾患によいイメージが強いですが、じつは運動による筋肉の疲労を軽減する働きがあることが報告されており、近年注目されています※。
しっかり動いた日の夕食には、筋肉の材料になるたんぱく質と、疲労回復をサポートするDHAが同時にとれる青魚を使った料理がおすすめです。手軽にとれる魚の缶詰をサラダやスープにプラスするだけでも効果的です。
※出典 Lewis EJH, et al. (2023) Long-Chain Omega-3 Fatty Acid Supplementation and Exercise-Induced Muscle Damage: EPA or DHA?